2006年10月05日
心地よい関係なのに「不倫」という人事みたいな名前で呼ばれて
ちょっと変わった小説を読み終えました。
俵万智さんの『トリアングル』
現代歌人としてはもっとも知名度が高いであろう俵さんの
小説で、彼女の小説らしく、
短歌が物語のあちこちに挿入されている。
そう言わば現代の歌物語なのだ。
30代の仕事を持った女性が不倫の恋を長年続けながらも、
年下の男の子とも新たに関係を始めてしまう。
ありがちな設定だけど、そこに短歌を交えた俵さんらしい
女性の心情に関して鋭い切り口を見せるとこもあれば
言いようのないもやもや感をうまく表している。
それは彼女の経験が生んだものかもしれません。
短歌自体はこの小説のために詠まれたものだけではありません。
全部がそうではないとは思いますが、
以前出版されている歌集の中に収められた歌が何首もあるので、
彼女の私小説とも言えそう。
物語の途中に急に歌が出てくるから
それに慣れない人にとっては最初変な感じがするかもしれません。
でも、会話の途中でさらりと歌が詠めたら
こんな風流なことはないと思う。