2008年04月05日
知りたくないだけど知りたいあの人の唇触れる時の父を
久しぶりにちゃんと本を読破した気がする。
三浦しおんさんの『私が語りはじめた彼は』
私は、彼の何を知っているというのか?彼は私に何を求めていたのだろう?大学教授・村川融をめぐる、女、男、妻、息子、娘−それぞれに闇をかかえた「私」は、何かを強く求め続けていた。だが、それは愛というようなものだったのか…。
とありまして。
何故だかモテる中年大学教授の村川を、彼に関わった人々が語っていく(というか主人公になっていく)
というスタイルの短編連作。
解説では(誰が書いてたか忘れた・・・)、作者三浦しおんさんの文章力を絶賛。
確かに上手いと思います。
タイトルが示す彼とはもちろん村川氏のことなのだが
村川氏自身が自分を語る章はなく、また各章でも実際の彼の心情を描く場面もない。
そして語り部も彼の身内の人間から、まったくの赤の他人まで幅広く
でも村川氏がどういう人物であったかをありありと想像させる。
幾人もの目を通して語る彼がぶれない。
角度、方向は違えど、話に芯があるのだ。
だけども
私は好みじゃなかった。
三浦しおんさんの本は『月魚』、『ロマンス小説の七日間』、『格闘する者に○』
などの初期作品を読んでいて、
スピード感に乗せてしまってつっ走るとか
さわさわと川のように流してしまうとか
そっちの作風の方が好きだったので
技巧的になった文章を、
上手いとは思えども面白いと思えなくなってしまったのが、とっても残念でした。